『少年指導で起きた事故の法的事例に基づく指導者の心得』レポート

2019 Chestnut League SPORTS ACADEMY

北尻総合法律事務所 弁護士 桂 充弘 先生の特別講演

「少年指導で起きた事故の法的事例に基づく指導者の心得」

 
《 開催日時 》
2019年8月31日(土)
《 場  所 》
関西学院大学 大阪梅田キャンパス
《 参加人数 》
約70名

講演会の様子1 今年で10回目を迎えた今回のチェスナットリーグ・スポーツアカデミーは『少年指導起きた事故の法的事例に基づく指導者の心得』というテーマについて、スポーツ界全般に活動されており、またアメリカンフットボール界にも精通されております、弁護士 桂 充弘 先生を講師にお招きし、近年スポーツ界でも起こっているパワハラ問題、また指導上に起こる事故問題等を,他競技で起こりました事例を基にお話しを頂きました。
講演にはチェスナットリーグ関係者、コーチ、保護者 約70名が参加頂きました。ご講演頂きました内容をご紹介させて頂きたいと思います。




◆事故リスクを誰が負担すべきなのか?

はじめにスポーツと事故は決して切り離す事は出来ず、事故が生じた場合、誰かが責任を負わなければいけないとお話しがありました。
請求の対象は 相手方プレーヤー、相手方クラブ、学校、指導者、監督、コーチ、団体連盟さらには施設管理者にまで向くことがあるそうです。  講義では今年6月に発生した大津での交通事故の事例をご紹介頂き、賠償責任について大まかな流れをご紹介頂きました。




◆スポーツ事故の場合 スポーツ基本法の改定

アメリカンフットボールでも同様に事故が発生した場合、原因究明に加え、責任の所在を明確にされることとなり、ボランティアのコーチや団体であっても同様に責任を負う可能性があります。
そのため、日本にはスポーツ安全保険がいくつか存在し、そのご紹介を頂きました。また、各スポーツ団体の保証は不完全であることが多く、スポーツ基本法ではスポーツ団体に安全の確保に配慮する事を義務付け、情報公開して安全の確保をするべきということでした。
避けられない事故への補償制度やスポーツ安全保険制度の見直しなど安全対策を長期間放置すると被害者と加害者双方に満足のいかない結果を生むことにつながってくるとお話しを頂きました。




◆暴力・体罰・暴言について

昨今でもスポーツの現場から体罰や暴言がなくならない中、日本バスケットボール協会のJBAインテグリティ委員会の事例を紹介頂きました。
インテグリティとは、誠実さ、真摯さ、高潔さ という意味があり、プレーする事だけでなく、人間力、指導力、組織力の向上を目的としているそうです。 またプロ野球の筒香選手の野球界へ提言や元バレーボール選手の益子 直美さんの「監督が怒らない大会」のご紹介も頂きました。
筒香選手の提言は指導者のモラル、大会の運営日程の過密、連投による投手、捕手へ負担などが挙げられており、旧体制から未だに脱却できていない事を強く非難されました。また益子 直美さんの「監督が怒らない大会」は選手自身が監督を監視し、暴言・暴力を無くす活動をご紹介頂きました。




◆競技団体に求められること

  • 暴力・暴言の問題をスポーツインテグリティの問題としてその重要性を認識し、根絶のためのメッセージを明らかにする
  • 年代別のジャンルを統括して競技を組織化すること
  • 指導のための資格制度を整備すること
  • 合理的な指導を研究し、これを広めるための研修を実施すること
  • 通報窓口を設け、通報制度が機能するように運用すること
  • 違反者に対する処分のための規定を整備して、適正な処分を運用すること

暴力・暴言は人格を否定し、人件を侵害する違法行為で民事的には 不法行為として損害賠償の問題となります。しかし、スポーツ競技においてはこれに加え、競技の価値の失墜につながることを強調しなければいけません。
競技価値の低下は観客の減少、補助金、強化費用、競技人口の減少、競技力の低下を招きます。そのため、競技団体の取り組む内容として以下の項目を挙げて頂きました。



講演会の様子2
最後に講演を快くお引き受けして頂きました桂充弘先生や
会場のご協力を頂きました関西学院大学の皆様には
この場を借りて、御礼申し上げます。




講師:桂 充弘(かつら あつひろ)先生のプロフィール

桂 充弘
桂 充弘
(日弁連)弁護士業務改革員会、平成19年大阪弁護士会副会長/元 立命館大学スポーツ健康科学部客員教授/元 同志社大学スポーツ健康科学部客員教授/現 スポーツ法学会副会長
プロフィール
1955年生まれ 京都府出身
同志社大学法学部卒 民事・刑事・会社関係全般の他、スポーツ関係の業務、スポーツ事故・スポーツ選手契約・肖像権管理等の業務にも従事。日本スポーツ仲裁機構仲裁人候補者、スポーツ法学会 その他多数活動されています。
(日弁連)弁護士業務改革員会、平成19年大阪弁護士会副会長/立命館大学スポーツ健康科学部客員教授もされております。

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